薬剤師は資格があれば転職がしやすく、実際に転職経験のある人が多くいる業種です。
転職を考える際に、「より多くの収入を得たい」と行動を起こすことも多いと思いますが、薬剤師は同じような勤務内容でも職種によって年収や賞与などに開きがあります。
今回は調剤の現場に携わる薬剤師の職場にスポットを当てて、
- 年収や賞与の比較
- 細かな勤務内容の違い
- 転職を考えた時にとるべき行動
などについてまとめましたので、転職を考えている薬剤師さんは参考にしてくださいね。
同じ薬剤師でも職種によって収入が全然違う?1番稼げる職種は?

薬剤師といえば比較的高年収をイメージされる方が多く、実際に働く企業によっては初任給が年収600万円〜という企業も存在しています。
しかし同じ薬剤師として働いていても、働く職場や業種によって年収に開きがあることはご存知でしょうか?
薬学部を卒業してたくさん勉強をした上で国家試験をパスしてきたからこそ、薬剤師として出来るだけ多くの年収をもらいたいなと考えるのは当然のことです。
今回は厚生労働省が行っている調査結果を基に、同じような業務内容の
- 病院
- 調剤薬局
- ドラッグストア
の3つについて収入を比較してみました。
同じ薬剤師でも働く場所によって年収の開きが大きい
同じ国家資格を持つ薬剤師でも、働く場所によって年収の開きが多いのはご存知でしょうか。
薬剤師として勤務していく上で考えられる職場は
- 病院・調剤薬局・ドラッグストア併設薬局など調剤の現場
- 医薬品企業のMR
- 医薬品卸の会社
- 研究・開発職
などがありますが、今回は業務内容が似た病院・調剤薬局・ドラッグストアの3つの給料について比較していきます。
病院・調剤薬局のデータに関しては、厚生労働省が行っている第21回医療経済実態調査の報告(平成29年実施)を基にしております。
ドラッグストアに関してはこちらのデータから取り出すことが出来ませんでしたので、大手ドラッグストアチェーンを3社ピックアップして求人情報よりデータを収集しております。
月収 | 賞与 | 合計 | |
病院(国立) | 4,549,374円 | 1,343,835円 | 5,893,209円 |
病院(公立) | 4,703,307円 | 1,367,516円 | 6,070,824円 |
調剤薬局(管理薬剤師) | 6,832,561円 | 813,017円 | 7,645,578円 |
調剤薬局(勤務薬剤師) | 4,402,106円 | 615,031円 | 5,017,136円 |
ドラッグストア | 293,000円〜355,000円 | 年2回(業績による) | 450万円〜600万程度 |
月収・年収ともに調剤薬局の管理薬剤師が一番高いというデータでした。
月収はドラッグストアに関しては初任給のものを拾っているのと、企業によってだいぶ開きがあるのが驚きでした。
勤務内容の違いは後述しますが、どの職場でも薬剤師として調剤業務に関わる仕事をしているのにもかかわらず、年収に100万程度の開きがある場合も。
それぞれの職場の給料や、特徴を少し詳しく解説してきます。
ドラッグストアで働く薬剤師の給料
ドラッグストアで働く薬剤師の給料は
- 就職先の企業
- 全国転勤の可否
- 業績による賞与
により同じドラッグストアでも開きがあります。
個人薬局では管理薬剤師に手当がつき年収がアップする場合がほとんどですが、ドラッグストアでは管理薬剤師になっても責任と仕事が増えるばかりで気持ちばかりの手当しかつかない企業もあります。
賞与も年2回のところが多いですが、業績によるものなので月収が他の企業よりも多くても賞与が少ないといった場合も。
またドラッグストアの給料の特徴といえば、新卒薬剤師から高い月給がもらえるというところです。
病院・調剤薬局では勤務年数とともに月給や年収が徐々にアップしていきますが、ドラッグストアでは最初から高めの月収をもらえることが多く、年収もある程度の年数で頭打ちになる傾向があります。
転勤や調剤以外の雑務(OTC販売やレジ打ちなど)や、年に数回研修があるなど大変なことも多いですが、奨学金の返済をしなければならない薬剤師が多いので新卒から高い月収を得られるのは魅力的です。
調剤薬局で働く薬剤師の給料
厚生労働省からピックアップしたデータを見ると、調剤薬局で働く薬剤師の年収は他の職場よりも低いです。
調剤薬局と言っても店舗が1店舗しかない完全に個人薬局と、県をいくつも股にかけて何店舗も経営している法人薬局のところがあります。
そういった店舗が全部まとめられた平均になっていますので、低めなのかなと感じました。しかし調剤薬局で管理薬剤師まで上り詰めると、全ての職種の中でずば抜けて高い年収となっています。
経験を積み管理薬剤師を目指すことで、調剤の現場で働く薬剤師の中では最も高い年収を得ることが出来る職場ということになります。
また調剤薬局はパート薬剤師が多く活躍する職場でありますので、働きやすさや転職のしやすさの面で考えた時に有利です。
ポイント
調剤薬局で管理薬剤師を務めるか、自ら管理薬剤師となり薬局を経営して成功することでより高い年収を得ることが可能です。
病院勤務の薬剤師の給料
病院薬剤師の給料は国立・公立で若干の開きはありますが賞与の平均が高いため、年収も高めとなっています。
しかし実際に働いている病院薬剤師の声を聞くと、データにあるような年収になるまでの道のりがだいぶ長く、初任給はドラッグストア・調剤薬局よりも安い傾向にあるようです。
ですが後述する病院薬剤師の勤務内容にもあるように、非常にやりがいを感じやすくキャリアを積むには最適な職場といえます。
異動や転勤などは少ないですが、夜勤がある場合が多いため給料の割に仕事内容としてはハードなのかなといった印象です。
長く勤務し続けることで徐々に年収が上がり、経験とともに収入もアップしていきます。
薬剤師同士の関わりだけでなく、医師を始めとした病院関係者との交流もあるためスキルを磨くいい場となります。
知っているようで知らない!ドラッグストア・調剤薬局・病院薬剤師の勤務内容の違い

ドラッグストア・調剤薬局・病院薬剤師はどの職場でも調剤業務を行います。
「似たような仕事内容なんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、細かく比較していくとそれぞれの職場で特徴がありどの職場にも良い面と悪い面が見えてきます。
就職を考える時に収入の多さを第一条件に掲げる方もいるかと思いますが、それだけで就職先を決めてしまう人はなかなかいませんよね。
収入<やりがいを求める薬剤師もいますし、転勤や残業が多くてもいいから収入が多いほうがいいという薬剤師もいます。
それぞれの職場での勤務内容について詳しく解説してきます。ドラッグストアで働く薬剤師の勤務内容については、イメージしているものと違い驚く方もいるかもしれません。
ドラッグストアで働く薬剤師の勤務内容
ドラッグストアはかつて薬剤師の進路の中でも最も人気がなく、病院も調剤専門薬局も落ちてしまい入る職場がなかった人が最終的に希望するという位置づけでした。
なぜかと言うと調剤薬局が併設されていることは稀で、薬剤師の仕事はドラッグストアの運営業務として
- 品出し
- POP作成
- OTC販売・管理業務
など特に薬剤師資格がなくても出来る業務ばかりだったからです。
しかし現在、大手ドラッグストアチェーン企業のほぼ100%が調剤併設を目標にかかげており、ドラッグストアに調剤薬局が併設されることが当たり前になってきました。
そのため薬剤師がドラッグストアへの就職=ドラッグストア併設の調剤薬局に勤務するというケースがほとんどです。
「それなら個人の調剤薬局と同じじゃん」
と思われるかもしれませんが、ドラッグストアの調剤薬局に勤務すると研修が多いためビジネスマナーから薬剤師としての専門知識まで、薬剤師以外の知識を学ぶ機会はとても多くなります。
また全国転勤OK、エリア限定で働きたいなど働き方も多岐にわたり、評価を重ねていくことで調剤薬局の現場だけにとどまらず、本社にて人事を統括するような業務につく可能性もあります。
個人の調剤専門薬局と違うところは、調剤業務だけではなくOTC販売の接客業務・品出し発注などの商品管理業務を任されることがあるという点です。
また大きい企業になるほど社内のルールなど細かく設定されていて、身だしなみや働き方の自由度は低めです。
調剤薬局で働く薬剤師の勤務内容
調剤薬局は個人の管理薬剤師が1つの店舗だけを経営しているケースから、何人も管理薬剤師を雇って複数店舗チェーン店として経営しているケースまで、色んなケースが考えられます。
調剤薬局は主に患者様に向けておくすりを調剤し投薬する仕事がメインですが、ちょっとしたOTC医薬品などを扱っている場合はその商品の管理を任されることもあります。
基本的には調剤・投薬業務メインとなり、まずは調剤経験を積みたい新卒の薬剤師にも人気のある勤務先となっています。
しかし調剤薬局は基本的に近隣の医療機関の処方箋を主に受け付ける事が多いため、同じような処方内容のものを多く受け付けて薬の知識が偏りがちになってしまうというデメリットもあります。
また
- 処方箋を受け付ける医療機関が、小児科や耳鼻科など人気でシーズンによって混みやすい科である
- 処方医の腕が良く、県外からも患者が殺到する病院である
- 大病院の門前薬局である
など立地条件によっては受け付ける処方箋の枚数がかなり多くなり、激務になることもあります。
ブランクがあっても転職しやすい勤務先であるため、定年後のパート先として応募があったり、産休明けのママ薬剤師が再就職しようと考えた時に1番ハードルが低いと言えます。
実際にパート勤務している薬剤師も多く、経営者の考え方にもよりますが大手のドラッグストアよりは身だしなみや社内ルールなど様々な面で自由度は高めです。
病院薬剤師の勤務内容
病院で勤務する薬剤師は、基本的には入院している患者さんの薬を調剤する業務を行います。
実際に病院勤務をしている薬剤師の話を聞いたところ、その病院では新卒1年目の薬剤師はひたすら地下の調剤室に潜って調剤業務を行っていたそうです。
ドラッグストアや調剤薬局と違うところは
- 新卒入社の人がほとんどで、中途採用の人は珍しい(難しい)
- 患者と接する場面が少ない
- 扱う薬が多種多様なので、薬に関する知識を豊富に得やすい
ところです。
薬剤師は比較的転職しやすく、実際に転職をしている人も多いですが、ドラッグストアや調剤薬局から中途で病院薬剤師への転職はかなり難しいと言われています。
先程も説明しましたが、病院薬剤師はこの3つの職場の中では最も初任給が低く、年功序列に給料が上がっていく傾向にあります。
そのため長く働いてキャリアを積む必要があり、キャリアアップを目指しての転職となるとかなり厳しいものになってきてしまいます。
しかし年数を重ねるごとに医師の回診に一緒について回れたり、病棟で受け持ちの患者さんを担当することができたりと、他の職場ではできない経験をするチャンスがたくさんあるのが特徴です。
それぞれの業種のメリット・デメリット

それぞれの勤務内容のところでも少し触れていますが、どの業種にもメリット・デメリットがあります。
給料が高い=いい職場!というわけではありません。
働きながら子育てをしているママ薬剤師やこれから結婚を考えている女性薬剤師にとっては、休みの取りやすさなども気になる点ですよね。
何を重視するかは人それぞれですが、各職場で働く上でのメリット・デメリットを知って押して損はありません。
休みが取りやすい、休日が多いのはどの職場?
休みが取りやすい職場は圧倒的にドラッグストアです。
ドラッグストアはチェーン店がほとんどなので、事前に休みの申請・申告さえきちんとしていれば、店舗間で人員のやり取りをして補充することが可能です。
また福利厚生制度がしっかりしている企業が多く、有給だけではなく季節休や慶弔休暇など取得できる休みも多いです。
休日の多さはドラッグストアと調剤薬局はほぼ同じくらいでしょう。
薬局は基本的には医療機関が開いていなければ処方箋を受け付けることがほぼないため、日曜日や祝日などは休みになります。
また、お盆や年末年始など受け付ける医療機関の休みに合わせて薬局を閉めることもあるため、比較的年間の休日は多めです。
病院勤務となるとお盆や年末年始もあまり関係ないため、交代で休みをとったりと他の職場のように長期連休をとることは若干難しくなります。
後述しますが夜勤もあるため、シフトによっては夜勤明けの休日など休みの日が多めになることもありますが、連続した休みはとりづらい傾向にあります。
調剤薬局は残業が多いって本当?残業の多さは規模の大きさに違いあり
調剤薬局で働いていると、全く残業がなく毎日定時で帰れるということはほぼありません。
多少の残業があるということは他のどの職業にも言えることなのですが、調剤薬局の場合は開局時間が決まっていもお待ちの患者様の調剤業務が終わるまでは帰宅することができません。
そして調剤業務が終われば帰れるというわけではなく、その他薬歴の記入業務など事務的な仕事も残ってしまいますので、忙しい店舗へ配属になると残業せざるを得ない場面も増えてきます。
また調剤薬局は立地条件や受け付ける病院の科によって、忙しさがだいぶ違ってきます。
1日に30枚しか受け付けない店舗もあれば、1日で100枚以上の処方箋を受け付けてこなしていかなければならない店舗もあります。
調剤薬局=残業が多いのではなく、勤務する店舗の規模や働いている薬剤師の人数によって残業時間は左右されてしまいます。
やりがいを感じるのは病院勤務!でも夜勤もあり仕事はハード
病院勤務の薬剤師は仕事が激務で大変だという話を耳にしますが、それと同時にとてもやりがいを感じるという話もよく耳にします。
病院で働く薬剤師は1年目こそ調剤業務ばかりで患者さんと接する機会は少ないですが、病棟を任されるようになると担当の患者さんに付いて服薬状況の管理をしたり、副作用のチェックをするなど責任のある仕事を任されることも増えてきます。
配属される病棟によっては
- がん専門薬剤師
- 小児薬物療法認定薬剤師
など、担当する患者さんの抱える病気の専門知識を身につけるために認定薬剤師の資格を取得する薬剤師も。
取り扱う薬の数や分野も幅広く、1つの調剤薬局に努めているよりも多くの薬に関する知識を得ることが可能です。
しかし夜勤もあり拘束時間が長く、結婚後子育てしながら働き続けるとなると出来る仕事も限られてきてしまいます。
今の職場や勤務内容に不満…。垣根を越えた転職は可能なのか

長く働き続けたいと思い就職した職場でも、働いているうちに不満を持つこともあります。
- 入社時と給与形態が変わり、年収が減ってしまった
- もっと大きな規模の薬局に転職してスキルアップしたい
など給与面で職場に不満を持ったり、一店舗しかない調剤薬局で働き続けていることでこれ以上のスキルアップが難しい場合など、他の職場への転職を考える場面が出てきます。
そういった時に調剤薬局から調剤薬局と同じ職場への転職だけでなく、調剤薬局からドラッグストアへなどといった垣根を越えた転職を視野に入れて転職活動を行うことで、自分の希望が叶う転職先を見つけやすくなります。
違う職種への転職は可能!ただし1からのスタートになることを覚悟して
病院から調剤薬局、調剤薬局からドラッグストアへなど、垣根を越えた転職は可能です。
実際に垣根を越えた転職を行っている薬剤師も多く、調剤経験がほぼない・ブランク期間が長いなどの場合でない限り、転職のハードルは比較的低めです。
しかし
- それぞれの職場で業務内容が全く違うものもある
- 同じ調剤業務でも手順やマニュアルが違う場合がある
など、調剤経験があっても1からのスタートになることは覚悟しておいた方がいいです。
例えば個人の調剤薬局→ドラッグストア併設の調剤薬局に転職の場合、ルールやマニュアルの細かさに驚かされることも多いでしょう。
大手のドラッグストアチェーン店ほどマニュアルも細かく、個人の薬局からの転職だと今までやってきたやり方が通用せず堅苦しくて嫌だという話も聞いたことがありますので注意が必要です。
ポイント
全く不可能という訳ではありませんが、ある程度年齢が高くなってしまってからの転職となると難しいです。
年収&スキルアップを目指して転職活動する人も多い
薬剤師として垣根を越えた転職活動をする人の多くが
- 年収アップを目指してより条件の良い職種へ転職
- 今ある知識をより深めたい・もっと様々な薬の知識をつけたい
などスキルアップを目指していることが多いです。
1つの職場に長くいることで深まる知識もありますが、同じ調剤薬局で長く勤務していると取り扱う薬の種類が限られてきてしまいます。
また個人調剤薬局だと年収もある程度のところで頭打ちになってしまい、それ以上の収入アップを目指しても難しいことも…。
薬剤師という職業は資格と経験さえあれば、転職に対してのハードルは高くありません。
年収アップやスキルアップを目指しているのであれば、垣根を越えた転職を検討してみるのもいいでしょう。
転職サイトを活用すれば、垣根を越えた転職活動もサポートしてもらえる
薬剤師は転職に対するハードルは高くないと言いましたが、垣根を越えた転職を考えた時にどんなことから行動を起こせばいいのか迷ってしまいますよね。
他の職場の業務内容がどんなものなのか?給料は?
など知りたいことがあっても、情報収集するのが大変です。
そこでぜひ活用してほしいのが、薬剤師専用の転職サイトです。
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まとめ
薬剤師として同じような勤務内容で働いていても、勤務先によって年収に開きがあることがわかりました。
もちろん収入が全てではありませんので、やりがいのある仕事や自分の憧れていた職場で働き続けることも大切です。
しかし今の職場に対して収入面や待遇などで不満を感じているのであれば、心機一転垣根を越えた転職を考えてみると薬剤師としての可能性が広がっていきます。
薬剤師という資格は一生モノの資格ですので、自分の力を最大限に活かせる職場で活躍出来たら素敵ですよね。
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